僕と僕の母様 第119回

大福りす
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僕と僕の母様 第119回



「じゃあ、陵也お勧めの一品から いただきましょうか」 そう言って 包装紙を開け 箱の中から僕に一つ渡して 母様も一つ口に入れた。

「どう、美味しいでしょ?」 美味しいと分かっていても その返事を聞きたい。

「あー、美味しい、正解!」 OKサイン付きだ。

「でしょ、でしょ、良かった これ買ってきて」 僕も一つ口に入れた。

「もう一つ食べてもいい?」 一つ食べ終えた 母様がおかわりだ。

「いいよ、食べて」 気に入ったようだ これを買ってきて良かった。

正太の方の味が気になる。

「こっちも開けてみて」 母様を急かして そう言った。

さっきと同じように 包装紙を開けて 箱の中から僕に一つ手渡して 母様も一つ口に入れた。 母様の表情を見る。 なんだか 微妙な顔をしている。

「どうなの?」 母様をのぞき込んで聞くのだが 返事がない。

「美味しくない?」 母様は ニチャーっと笑うだけだ。

僕も食べようと 口に入れかけると

「食べない方が良いと思う」 やっと返事をしてくれたが 買ってきた者に そんな返事はないだろう。

でももしかすると とんでもない味なのか? ゆっくりと口に入れた。 少し咬んでから 口の中にとんでもない味と 感触が広がっていき ハッキリ言って もどしかけた。

母様が慌てて お茶を入れに行った。

僕はお茶で何とか お腹まで流し込んだ。

母様もお茶を飲んでいる。 後味が どうにもならないのだろう。 お腹に流し込んだと言っても 胃の中から あのとんでもない味が ボワ~ンと上がってくる。

「陵也~、せっかく買ってきたのに こんなこと言うのも何だけど 正太君には渡さない方が良くない?」 申し訳なさそうに 母様がそう言ったが これ以外何も買ってきていないので これを渡さないと 正太に何のお土産もない。

正太からは 修学旅行のお土産として 沖縄バージョンの キティーちゃんのストラップを 貰っていたので 僕も渡さないわけにはいかない。

貰ったときは 何でキティーちゃんなんだと 大笑いしたが この意表をついたお土産を 僕も渡したかった。 だが本当に コレといった物が 何にもなかったのである。

「いや、渡す。 正太ん家は弟もいるし 男二人の食べ盛りだ 味なんかより 食べる物があればそれでいいんだ」 自分に言い聞かした。

「こっちの方から 先に食べれば良かったね そうしたら もう一つの美味しい方を渡せたのに」 ごもっとも。

「でもこの味は お母さんが好きそうだったから 買ってきたんだし 正太が好きかどうか 分かんないからいいよ」

「どっちにしても もう開けちゃったし渡せないもんね」

シラ~っとした空気が流れた。






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