僕と僕の母様 第103回

大福りす

僕と僕の母様 第103回




僕の他はみんな 特進科と普通科だ。


そんなわけだから こういう会話は 国語能力のある人に任せて 僕は高みの見物と象の耳だ。


僕自身は 滑りたいという気持ちも勿論あったが 別に他の奴らと別行動をしてとか、何か自分が発言をして みんなを説得しようとかって いうほどの気持ちもなかった。


事の成り行きを面白くも思いながら ずっと見ていた 聞いていた。


そして思いもよらない面白い場面では 笑いをこらえるのに 必死でもあった。


その時の僕の立ち位置は みんなの背中を見るような位置で 班の全員を見ることが出来た。 


誰かとインストラクターさんが 何か言っているその横で 急な坂でもないのに 何人かがズルズルと滑っていったり、意味無くこけたりしているのだ。


その上 インストラクターさんに強く言おうと思って 声が大きくなると 足にも力が入ってしまうらしく それが変な方向に向いてしまうのか 口は喧嘩腰なのだが 体の腰は曲がってこけていく。 迫力に欠ける。


そして立とうと思っても これまたなかなか立てない。


僕も手をさしのべるけど 僕も初心者もどきだ そんなに手を伸ばす勇気がない。 お互い手が届かない。


それを見ていた 真の初心者君が 自分も手を出さなければと思ったのか ストックを雪面から離したとたんに こけている奴の上に覆い被さるように こけていった。 笑っちゃいけない。


笑いをこらえる そう言う意味で 僕はかなり疲れてきた。


そこへ学校の先生が颯爽と滑ってきた。


「お前達、何やってんだ」 どこか離れたところで 様子を見ていたのだろう。


僕たちがいつまでたっても動かないから 様子を見に来たようだ。


「先生、僕たち滑れません。 このまま歩いて降りていって良いですか」


「はぁ~?」


「イヤ、この子達が滑るのが無理だから 歩いて降りるって言うんですけど それじゃあ練習にならないから 頑張ってやってみないかって、説得してるんです」 インストラクターさんが 状況を説明した。


「いやいや、それは手こずらせて 申し訳ありません」 先生がインストラクターさんに謝ったかと思うと 鬼の形相で僕たちの方を見て  


「お前達情けないことを 言ってるんじゃない。 ちゃんとインストラクターの先生の言うことを聞いてやっていけ。 降りられないって言う奴は誰だ? 俺が付きっきりで一緒に降りてやる」 この先生は 体育の先生でとっても怖いのだ。 班のみんなを見渡して


「お前か」 僕と目が合いました。


「へっ?」 それ以上言葉が出なかった。 


何で僕なの 何も言ってないし、こけてもいない。 ちょっと笑いをこらえるのに ヘラヘラしてたくらいだ。 


それがいけなかったのか?






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