僕と僕の母様 第104回
僕と僕の母様 第104回
それを聞いて インストラクターさんが
「いえ、先生この子はそこそこ滑れるんです。 君はいけるよね。 他の子もどう? この坂だけ挑戦してみない?」 その問いかけに渋々「はい」 と何人かがボソッと返事をした。
「よし、じゃあ、頑張って少しずつでいいから 降りていこう。 僕が最初に滑って行くから その後に今のリフトの順番でいいから 一人ずつ滑ってきて。 いい? 分かった?」 僕達の方を見てそう言って 次に先生の方を見て
「先生、この子達滑って降りてくれるみたいですから もういいですよ。 大丈夫です。」 そう言った。
「あ、申し訳ありません。 じゃあ、お願いします。」 先生はそう返事をして 次に僕達の方を見て
「あまり先生の手を 手こずらせるんじゃないぞ。 最後までちゃんと滑っていけよ」 そう言い残して 滑って行った。
「じゃあ行くよ」 そう言ってインストラクターさんは 斜め左に何メートルか滑って行った。
そしてストップしたかと思うと こちらの方にストックを上げながら
「ここまで まっすぐに滑ってくればいいから 難しくないよ、一人ずつ滑ってきて」 その言葉を聞いて 真面目な特進科の一人が
「やっぱり僕が一番なわけ?」 とみんなの方を向いて聞いてきた。
「そりゃあ、さっきのリフトの順番からすると そうなるだろう」 もう一人が言った。
「無理だよ・・・先に行ってくれない?」 その目線はこっちを向いている。
「えっ? 僕?」
「頼むよ、その後には絶対に行くから。 お願い。」
「うん いいよ」 そう言ってしまった僕であったが これくらいの坂なら いけるだろうと変な自信があった。
そしていとも簡単に インストラクターさんの所まで滑って行き その上、カーブをして方向転換までスッと出来た。
「やるじゃん」 インストラクターさんに褒められた。 僕も自分でビックリした。
その僕の滑りを見て みんなも出来るような気になったのか 一人ずつ滑ってきた。
中には何度も転けながら やっと着いたっていう感じの奴もいたが みんなそれなりになってきたようだ。
さっきのリフトの時は やっぱりリフトに乗って そこから降りるという プレッシャーとでも言おうか そんなものがあったんだろう。
でも今度は 単に滑り降りるだけなので 気が幾分楽になって滑ることが出来るんだろう。 みんな何となく さっきまでの顔つきと違うような気がする。 少しは楽しめてきたんだろう。
まあ、僕もこの程度なら 充分ついていけるので 余裕の中での滑る楽しさが出てきた。
全員が何とか同じ場所に集合できた。 とは言え坂の途中だ。 満足にずっと立っていられることは なかなか出来ないようで ズルズルと自分の立つ場所を 不本意にも引力に負けて ズレていく奴も中にはいる。
そして今度は斜め右に といった具合に ジグザグに滑っていくという練習の仕方で 坂を少しずつ降りて行った。
その日の練習は それだけで終わったが 何とかみんなそれなりに 楽しんだのだろう。 インストラクターさんが最後に
「みんなよく頑張ったね やれば出来るということが分かったと思う。 今晩はあちこち筋肉痛で 痛くなるかも知れないけど 民宿のお風呂によく浸かって 疲れを取っておくように。 今日の練習を忘れずに 明日また頑張ろう。 それでは解散」 その頃には みんな半分満喫できたかのような 顔になっていた。
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