彼女達 第14回

大福りす

彼女達 第14回




「ここにいるみんな、もう決まってるんだよね。 就職も進学も」 志乃がみんなを見渡して聞いた。


「進学は私だけよね。 後はみんな就職組みよね」 真紗絵もみんなを見渡して聞いた。


「うん、全員同じ所。 多分、流れ作業だけどね」 一人がそう言うと


「え? 事務じゃないの?」 てっきり全員が事務と思っていた志乃が聞いた。


「高卒で事務って無いんじゃない?」 志乃が受けた事務職のことは うかつに口に出来ないと思った。 


「何処の会社だっけ?」 真紗絵が他のクラブ員に聞き出したので このまま話がそちらに流れると 志乃の事は聞かれることは無いであろう。 志乃も皆の話に聞き入った。




特に何も無い日が続いた中 秋美の合格が確定した。 そしてとうとう 志乃の合否発表の日が近づいてきた。 



秋美が一人で座っている。 その秋美の前の席の椅子を回転させ 秋美を見る様に座り


「秋美ちゃんよかったわね。 お姉さんと一緒の学校になれて」 志乃は秋美と義姉が とても仲がいいことを知っている。


「うん、これで自由になれるー」 嬉しさが爆発という感じだ。


「自由?」 意味が分からないといった感じで 志乃が聞いた


「うん、うちの親何かとうるさいから 義姉と一緒だったら 何の文句も言わないのよ。 義姉を見張り役にしたっていうのは うちの親の大きな失敗よ」 


「箱入りだもんね」


「箱どころじゃないわよ。 入りたくも無いのに 鉄の箱に入れられてるわよ。 牢屋みたいなものよ。 だからこれからは 義姉と一緒だったら夜遅くまでも 学校の用事とかって言って 遊びに行けるのよ。 今から義姉と色々計画してるの。 もう嬉しくって耐え切れないわよ」


「あ、それでお姉さんを 見張り役に考えた親の失敗っていう事」 志乃が納得した。


「そう。 大失敗でしょ。 それより志乃ちゃんも もう結果が分かるんでしょ?」


「うん。 もうそろそろと思うけど」 他人事のように答えた。


「合格が決定したら うちに泊まりに来ない? うちの母親、志乃ちゃんだけは 完璧に許してくれてるの」 満面の笑みである。


「合格するとは限らないわよ。 ・・・え? 何? 私だけって?」 溜息をつきかけた 志乃だったが 話の筋に疑問を持った。


「全般的にクラブ員の子は 許してくれてるけど 志乃ちゃんは特別みたい」 笑みはまだ消えていない。


「どうして?」 志乃には理由が分からない。


「一度 学校でうちの親に会ったじゃない。 覚えてる?」 秋美が前のめりになって聞いてきた。


「うーん、いつかなぁ?」 全く記憶に無いようだ。


「覚えてないか、でもいいの。 その時の志乃ちゃんの挨拶の仕方が良かったって うちの親がベタ褒めなのよ」 


「挨拶って クラブ員全員するでしょう?」 納得がいかない志乃。


「背筋が伸びてたって言ってたよ」 両肘を机に置き 手のひらに顎を乗せた。


「背筋? まぁ確かに姿勢はよく褒められるけど」 それくらいの事で? そういった感じだ。


「それにその時ジャージだったのよ」 更に笑みがこぼれる。


「ってことは放課後だったのかな?」 いつのことか思い出そうとするが なかなか思い出せないようだ。


「うん。 ジャージがまた良かったらしくて」 秋美の納得をしている顔。


「ジャージって・・・」 それに反して 疑問だらけの志乃の顔だ。