みち  ~未知~  第23回

大福りす
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『みち』 ~未知~  第23回



白いものが見えなくなったことに対してイライラは無くなったのだが まだふとした時に感じるビルからの視線、そして課長のことで自分を責める毎日だ。

そんなある日の夜、久しぶりに文香から電話がかかってきた。

「もしもし? 琴音?」

「うんそうよ。 どうしたの?」

「どうしたのって、なに? 元気無さそうじゃない」

「え? そんなこと無いわよ。 ただ、前に務めていたところの課長が先日亡くなっちゃって ちょっとショックなの」

「あら? 琴音がよく言ってた課長?」

「そうなの 脳溢血だったらしいんだけど 私がストレスを与えたのかなって気になって」

「どうして辞めた琴音がそんなことを考えなくちゃいけないわけ?」

「辞めたからよ。 私が辞めなかったら 課長に仕事のストレスが溜まらなかったんじゃないかなって・・・」

「は!? どうしてそんな風に考えなくちゃいけないの?」

「どうしてって・・・あまりにもそんなタイミングだから・・・後輩からも課長がてんてこ舞いになってるって聞いてたから・・・」

「琴音らしいわね 何を言っても無駄なんでしょうね」

「うん・・・何言われてもそう考えちゃう。 考えたからって生き返ってくるわけじゃないのにね」

「ネ、気晴らしに出かけない?」

「気晴らしかぁ・・・そうね・・・」

「うん、本当はねコレが目的で電話したのよ」

「なあに?」

「今日、会社で奈良県の天河神社の話題で盛り上がったのよ。 それでどうしても行きたくなっちゃって、気晴らしがてら付き合ってくれない?」

「神社なの?」

「分かってる、分かってる。 琴音が神社嫌いなのは知ってるわよ。 私が運転するからさ、車の窓開けて 山の中を走るみたいだから 山の空気でも吸って そのネガティブな考え吹っ飛ばそうよ」

「ネガティブって・・・」

「そうじゃない。 薬盛ったわけじゃないんでしょ?」

「何てこと言うのよ」

「行こうよ」

「うん・・・そうね、行ってみようかな」

「よし、決まり! 絶対よ」



週末土曜日 約束の時間を過ぎても 文香が来ない。

「ま、お寝坊でもしたのね 気長に待ってよう」 そう思っていると文香から電話があった。

「ごめーん、今から家出る」 そう言ってすぐに切られたのだが まさか待ち合わせの時間に起きたとは琴音も考えていなかった。

「今から家を出るってどういう事? でも仕方ないわね さて、何をして時間を潰そうかしら・・・取りあえずコーヒーでも飲んでましょうか」 するとそれから40分ほどして文香から電話が入った。

「もうちょっとで着くから 道路に出てて」 結局予定より1時間遅れの出発となった。

琴音が車に乗り込むとすぐに地図を手渡され 文香はゆっくりと発進しだした。 

「そこの赤丸が 天河神社なの。 この週末に行くって言ったら 情報をくれた子が地図をコピーしてきてくれたの。 その子自身は運転が出来ないから 詳しい事は聞けなかったんだけどね」 そう言いながら まだゆっくりと走っている。

「どうしたの?」

「うん、ちょっと 車を停めたいんだけど どこかにないかしら」

「ああ、そこを曲がると幅広の行き止まりでUターンも出来るわ。 ちょっとなら停めてても何も言われないわよ」

「ここね」 文香は車を停め カーナビを触り始めた。

「ゴメン、早く起きてナビを設定しようと思ってったんだけど 実は待ち合わせの時間に起きたの。 だからお化粧だけして出てきて 何も設定できていないの」 住所からでは設定できない。 地図があったおかげで その地図と照らし合わせながらの設定だ。 1時間遅れどころかそれ以上遅れだ。

「この地図が無かったら 行けなかったわね」 琴音が言うと

「うん、あの子に感謝だわ」