僕と僕の母様 第51回

大福りす





                       日の元 大和の民が 一つの大きな和になりますように






僕と僕の母様 第51回



母様が僕のお茶碗に ご飯をよそった。 

「いただきます」 「はーい、どうぞ」 と言いながら 会話が進んでいく。

「ねぇ、何時位からの演奏になるの?」 母様が僕の正面に座りながら 聞いてきた。

「部室にプログラムが貼ってあったけど あんまり真剣に 見てなかったからなー。 確か一時か二時くらいなんじゃなかったかな」 お箸をくわえながら返事をした。

行儀が悪いという感じで また軽く頭を叩かれた。

「一時か、きついな」 肘をつき 両手で大きく顔を覆った。

「何なの?」

顔を覆っていた両手を広げ そのまま頬に付けながら

「二時なら仕事を終わってから 滑り込みセーフで間に合うけど 一時は完全に無理だし・・・」 

「無理に来なくていいよ。 どっちみち二時でも バイクぶっ飛ばしで来るんでしょ、事故られたら困る。 それに入場券がいるんだよ 来るなら学校でそれを 買わなくちゃいけなかったからね」

「ゲー、入場券? そんなのがいるの?」 驚いて 頬杖をついていた両手を テーブルに バンと 押し付けるように置いた。

「そうみたい いくらだったかな、六百円だったかな? 忘れた」

「信じられない」 真実です。

「だから来なくて良いんだよ」

「でもなー・・・」 また頬杖をついた。 今度は片手でだ。

「明日 先生に言って 買っておいても良いけど お母さんに渡せないでしょ」

「・・・うん」

「だから来なくていいよ」 あんまり言うと 参観日のことを思い出す。 言うのが辛い。

「お母さんのバイクの運転が どんなに悪いか知ってるんだから 着く前に事故っちゃうか 警察に捕まるよ、どっちになっても 会場まで着けないし 事故られたら 僕が責任を感じるじゃない」

「・・入場券か・・・諦めるしかないのかな・・・」 今の僕の話聞いてなかったみたい。

「お母さんが着く頃に 陵也が入場券を持って 入場口で待ってるとか、無理?」 やっぱり聞いてなかったんだ。

「一時かもしれないし、仮に二時としても どれだけズレてくるかわからないじゃん。 あくまでも予定なんだから」

「悔しいなー 諦めるしかないか・・・」 良かった話が終わりそうだ。

「何でもっと早くに 入場券がいるとか、明日だとか言わないの!」 終わりそうになかった。

「イヤ、何で!? 確かに入場券のことは 言ってなかったけど 明日だって事は ずっと前に言ってたよ」 何度言えばいいの。

「明日ってちゃんと聞いてたら お仕事休んだのに」 腕組みをして 大きな態度だ。

「だから言ったって」 ため息が出る。

「いつ言ったのか知らないけど 相手はお母さんなんだから 少なくとも一週間前からは 毎日ちゃんと言わなくちゃ 覚えてるわけないじゃないよ。 それ位分かんないの!? バッカじゃない」 僕が悪者になってしまいました。 おまけに僕はバカだそうです。

取り合えず これ以上相手にしないでおこう。

「明日起こしてよ」 僕がそう言うと

「ふん!」 怒っちゃいました。

いつもは 僕の食事が済むまで 一緒にテーブルについていてくれるんだけど さっさとリビングに行っちゃいました。

ご飯を食べて少ししてから シャワーを浴び、とりあえず今日はもう寝よう。

「おやすみ」 母様に声をかけてみた。

「はーい、おやすみ」 ご機嫌が直っているようだ。

ベッドに入っても 緊張して眠れないんじゃないか と思っていたのだけれど クタクタになった肉体は正直だ。

いつしか記憶をなくしていた。





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