みち ~道~ 第119回
『みち』 目次
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『みち』 ~道~ 第119回
睨みの利いた目で野瀬を見ると「どうぞ」 と一言。
「失礼します」 野瀬が先頭を切って入って行った。 琴音が更紗の後ろに付こうとしたとき更紗が琴音の背を押して先に歩かせた。
「え?・・・」 背中がそっくり返る。
(ちょっと待ってよ、これって誘拐じゃないでしょうね)
野瀬がさっさと廊下を歩き中の部屋に入って行った。 すると
「やぁ、野瀬君久しぶりだね」 中から声がした。 その時
(わっ、この空気って何? 異常じゃない?)
琴音もゆっくりと中に入っていくとソファーに座っている恰幅のいい60歳くらいであろうか、その男性一人とソファーの横には40歳代位に見える細身の男性一人が立っていた
(うわー、何? この嫌な感じ)
「おお、更紗先生お元気でしたか? あれ? この方は?」
「今、野瀬君と一緒に行動をとってもらってお勉強をしてもらっていますの。 まだ名前を名乗れるほどではないので今日のところはご紹介できないんですが、同席させて頂いて場の経験をしてもらおうと思っているんですけどよろしいかしら?」 先程までの更紗と別人のように話し始めた。 琴音はどうしていいのか分からない。
「そうですか、野瀬君も忙しいだろうから助手が必要なわけですな。 結構ですよ。 何も隠さなければならないこともありませんからね。 立ったままではなんですから さぁさ、座ってください」
「有難うございます。 彼女には一緒に座って話を聞いてもらいますけどあまり気になさらないで下さいね」 更紗が琴音に自分の横に座るように促した。
とにかく何が何だか訳が分からないが誘拐ではなさそうだと更紗の隣に座った琴音であった。 琴音が座った横に野瀬が立った。
「こんな美人を気にするなと言われても無理でしょう。 なぁ?」 隣に立っている細身の男性を見て言った。 男性は何もしゃべらず頷くだけであった。
「まぁ、そんな風に言っていただいて野瀬君も鼻が高いわね」 野瀬を見ながら白々しく更紗が言った。
「いや・・・まぁ。 それよりどうでしたか? 海外旅行のほうは?」
「まぁまぁだったよ。 久しぶりに仕事も何も忘れての旅行だったからね」 それを聞いた更紗が話を膨らませようと
「奥様孝行が出来ました?」
「孝行どころじゃありませんよ。 あちこちの店に行っては何かと買わされましたよ」
「まぁ、それは奥様、お幸せだこと」
「女性はどうしてあんなにバッグや宝石が好きなんでしょうなぁ」
「奥様はご趣味がお宜しいから。 きっと素敵なものをお買い求められたんでしょうね」
「行く国、行く国で買わされましてね、あんな物のどこが良いんだか私には分かりませんよ」 琴音にとって雲の上の話が延々と続いた。
話が続く中、琴音はと言うと
(ああ、息がしにくい・・・ここで吐いたりしたらこの綺麗な絨毯の弁償をしなくちゃいけないのかしら) 全く違う事を考えていた。
暫く更紗の受け答えを聞いていた野瀬が空気を読み、すかさず更紗に代わり話の方向を変えた。
「お嬢様はご一緒に行かれなかったのですか?」
「ああ、娘は友達とアメリカへ行っていたようなんですよ」
「あら? アメリカのどちらかしら?」
「いやー。 どこだったかな、確か今はやりの・・・セ・・・何とかっていう所だったと思うんですけど」
「セドナかしら?」 野瀬の方を見て言う更紗の姿を見た男性が
「ああ、確かそんな名前だったと思いますよ。 私は良く知りませんが 今、流行りだそうですね」 すぐに男性に向き直った更紗が
「そうですね、スピリチュアルブームに乗って 若い世代に流行っているようですわ」
「ほぅー、スピリチュアルですか。 娘がそんな事に興味を持っていたなんて知りませんでしたな。 という事は娘も更紗先生のような女性になるという事ですかな?」
「まぁ、私はスピリチュアル系ではありませんわ。 単なる悩み相談のようなものですわ」
「何をご謙遜を仰います。 私がこうしてやってこられたのも更紗先生のお陰なんですから」
「まぁ、それこそご謙遜ですわよ。 充分お力をお持ちになってらしたんですから。 私はそのお話を聞かせていただいただけですわ」 野瀬が更紗の限界を感じ細身の男性に聞いた。
「時間の方はまだ大丈夫ですか?」 すると無表情ではあるがいいパスをもらえたとばかりに
「はい。 社長、そろそろ」 饒舌に話していた恰幅のいい男性に話しかけた。
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睨みの利いた目で野瀬を見ると「どうぞ」 と一言。
「失礼します」 野瀬が先頭を切って入って行った。 琴音が更紗の後ろに付こうとしたとき更紗が琴音の背を押して先に歩かせた。
「え?・・・」 背中がそっくり返る。
(ちょっと待ってよ、これって誘拐じゃないでしょうね)
野瀬がさっさと廊下を歩き中の部屋に入って行った。 すると
「やぁ、野瀬君久しぶりだね」 中から声がした。 その時
(わっ、この空気って何? 異常じゃない?)
琴音もゆっくりと中に入っていくとソファーに座っている恰幅のいい60歳くらいであろうか、その男性一人とソファーの横には40歳代位に見える細身の男性一人が立っていた
(うわー、何? この嫌な感じ)
「おお、更紗先生お元気でしたか? あれ? この方は?」
「今、野瀬君と一緒に行動をとってもらってお勉強をしてもらっていますの。 まだ名前を名乗れるほどではないので今日のところはご紹介できないんですが、同席させて頂いて場の経験をしてもらおうと思っているんですけどよろしいかしら?」 先程までの更紗と別人のように話し始めた。 琴音はどうしていいのか分からない。
「そうですか、野瀬君も忙しいだろうから助手が必要なわけですな。 結構ですよ。 何も隠さなければならないこともありませんからね。 立ったままではなんですから さぁさ、座ってください」
「有難うございます。 彼女には一緒に座って話を聞いてもらいますけどあまり気になさらないで下さいね」 更紗が琴音に自分の横に座るように促した。
とにかく何が何だか訳が分からないが誘拐ではなさそうだと更紗の隣に座った琴音であった。 琴音が座った横に野瀬が立った。
「こんな美人を気にするなと言われても無理でしょう。 なぁ?」 隣に立っている細身の男性を見て言った。 男性は何もしゃべらず頷くだけであった。
「まぁ、そんな風に言っていただいて野瀬君も鼻が高いわね」 野瀬を見ながら白々しく更紗が言った。
「いや・・・まぁ。 それよりどうでしたか? 海外旅行のほうは?」
「まぁまぁだったよ。 久しぶりに仕事も何も忘れての旅行だったからね」 それを聞いた更紗が話を膨らませようと
「奥様孝行が出来ました?」
「孝行どころじゃありませんよ。 あちこちの店に行っては何かと買わされましたよ」
「まぁ、それは奥様、お幸せだこと」
「女性はどうしてあんなにバッグや宝石が好きなんでしょうなぁ」
「奥様はご趣味がお宜しいから。 きっと素敵なものをお買い求められたんでしょうね」
「行く国、行く国で買わされましてね、あんな物のどこが良いんだか私には分かりませんよ」 琴音にとって雲の上の話が延々と続いた。
話が続く中、琴音はと言うと
(ああ、息がしにくい・・・ここで吐いたりしたらこの綺麗な絨毯の弁償をしなくちゃいけないのかしら) 全く違う事を考えていた。
暫く更紗の受け答えを聞いていた野瀬が空気を読み、すかさず更紗に代わり話の方向を変えた。
「お嬢様はご一緒に行かれなかったのですか?」
「ああ、娘は友達とアメリカへ行っていたようなんですよ」
「あら? アメリカのどちらかしら?」
「いやー。 どこだったかな、確か今はやりの・・・セ・・・何とかっていう所だったと思うんですけど」
「セドナかしら?」 野瀬の方を見て言う更紗の姿を見た男性が
「ああ、確かそんな名前だったと思いますよ。 私は良く知りませんが 今、流行りだそうですね」 すぐに男性に向き直った更紗が
「そうですね、スピリチュアルブームに乗って 若い世代に流行っているようですわ」
「ほぅー、スピリチュアルですか。 娘がそんな事に興味を持っていたなんて知りませんでしたな。 という事は娘も更紗先生のような女性になるという事ですかな?」
「まぁ、私はスピリチュアル系ではありませんわ。 単なる悩み相談のようなものですわ」
「何をご謙遜を仰います。 私がこうしてやってこられたのも更紗先生のお陰なんですから」
「まぁ、それこそご謙遜ですわよ。 充分お力をお持ちになってらしたんですから。 私はそのお話を聞かせていただいただけですわ」 野瀬が更紗の限界を感じ細身の男性に聞いた。
「時間の方はまだ大丈夫ですか?」 すると無表情ではあるがいいパスをもらえたとばかりに
「はい。 社長、そろそろ」 饒舌に話していた恰幅のいい男性に話しかけた。