僕と僕の母様 第89回

大福りす

僕と僕の母様 第89回




月曜日からは またブラバンに入り浸りで 練習しなくっちゃ。


今まで一年サックスに比べると バタフリーのこととか 危険物のこととかで 集中できなかった分 頑張らなくちゃだ。


朝、駅の改札を抜け 階段を降りてホームの先を見ると 順平がいた。 順平も僕を見つけたようで 走ってこちらにやってきた。


そして開口一番。


「陵也―! 責任取れよ あの日から バンバンメールが入ってきて どんなに疲れるか!」 そう叫びながら 近づいてくる。


「メールって?」 どういうことだ?


「メールはメールだよ」 分かってるよ。


「バタフリーが 何で順平のアドレスを 知ってんの?」 どうしてだ。


「教えたからに決まってんだろ」


「僕教えてないよ」 誰が教えたんだろう。


「お前じゃないよ、俺が教えたんだよ。 そんなことはどうでも良い、何であの時 俺になすり付けたんだよ」


「どうでも良くないじゃん、自分でメルアド教えたの?」 何を考えてんだ。


「だって聞かれたもん」


「聞かれたから教えたの?」 呆れた。


「普通、人に何か聞かれたら 答えるでしょう」


「何で教えないって 断らなかったんだよ、ばか」


「バカって言ったな、失礼なヤツだな」


「メルアドを教えたって事は メールを送ってきても良いって 返事をしてるのと同じじゃない」


「なんでだよ、そんなこと一言も言ってないぞ。 聞かれたから 答えただけじゃないか」 


「僕知らない。 メルアドを教えたのは 順平なんだから」


「なんでだよ、助けてくれよ」 その時に順平の携帯にメールが入った。


「絶対にバタフリーだ。 家にいるときから 何度も入ってきてたんだ」 そう言って順平の携帯を開けて 二人で見てみると 順平の言う通りバタフリーからだった。


『もう駅に着きましたか? 何時くらいに こちらの駅に着きますか? 返事待ってます』 そんな内容だった。


「すごいね、愛されてるじゃん」


「しばきたおすよ」 そう言いながらも この順平は正直に 返信を送っている。


止めようかとも思ったが これも面白いと思って 僕は黙って見ていた。


『今さっき駅に着きました。 何時の電車に乗るか分かりません』 後何分もしない内にやってくる 電車に乗るのを分かっているのに 精一杯の順平のシカトだろう。 笑ってはいけない。 笑うとこの先の面白い場面が見られない。


すぐに電車がやってきたので 二人で乗り込んだ。 するとまたメールの着信音だ。 座ってメールを見る。


『ギリギリまで 駅の改札で待ってます』 その内容に ガマンしていた笑いが 飛び出してしまった。


「何笑ってんだよ」 疲れ果てたように投げ出すように 携帯を持っていた順平の手の力が抜けて 手ごと膝の上に置いていた 鞄の上にトンと落ちた。


「どうすればいい?」 半泣きの顔だ。


「知らないよ メルアド教えたの 順平なんだもん」 ああ楽しい。






最後まで読んで頂きまして有難う御座います。


参加しております。クリックのご協力をお願い致します。


にほんブログ村 小説ブログ 現代小説へにほんブログ村